【独学合格者ノート】行政書士試験受験者のための行政法【これを見れば行政法がわかる!】

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今回は行政書士試験に挑む方のために、行政書士試験で最も重要な『行政法』についてまとめたいと思います。

行政法は行政書士試験のなかで、5肢択一19問前後、多肢択一2問前後、記述式1問前後が出題され、300点満点中110点前後の配点がある重要な科目です。

ですので、行政書士試験は行政法の試験といっても過言ではありません。

これは、行政書士の業務内容の主が行政法に関する、いわゆる行政に対する折衝がメインであることと関係が深いでしょう。

行政法はころころ変わるので、一年かけてしっかり勉強しないと古くて間違った知識を覚えてしまうことになるので注意が必要です。

過去問集でも「現在はこの肢は間違っています」なんて問題がよくあります。

本記事でも、そのあたりを注意しながらまとめていきたいと思います。

※本記事は2018年4月1日現在の行政法をもとに記事を書いています。

以下の内容をすべて暗記すれば、行政法で合格点を取れることウケアイなので、受験生は頑張って覚えてください。

※論点をすべて網羅しているわけではなく、重要な部分をかいつまんで暗記ノートにしています。太字の赤字の部分が重要な暗記ポイント、赤字下線アリが次点で重要なポイントです。
受験生のみなさんに確認用として使用していただければ幸いです。

行政法の一般法理

  • 会計法30条で金銭給付を目的とする国の権利は5年で消滅時効
  • 国の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効は民法どおり10年

 

  • 国税滞納処分による差押えは民法177条(不動産取得は登記がなければ第3者に対抗できない)が適用される
  • 農地買収処分は国家権力的手段なので民法177条は適用されないが、自創法30条に基づく未墾地買収処分による所有権取得については民法177条の適用がある

 

  • 公営住宅の使用関係については信頼関係の法理がある。→変な使い方をして追い出されても文句は言えない。
  • 公営住宅の使用権は相続人に承継されない。→生活保護費も相続人に承継されない

 

  • 国の普通財産の払い下げは本質は私法上の金銭債権であり、消滅時効も10年
  • 地方議会議員の報酬請求権は、条例に譲渡禁止の規定がない限り譲渡することができる
  • 道路において、敷地権者が通行を妨害した場合、通行することにつき日常生活上不可欠の利益を有する者は妨害排除請求権を行使できる
  • 現金出納権限の無い村長がした村議会の議決に基づく金融機関からの借受は表見代理が適用される
  • 権限の無い収入役のなした村名義の金銭消費貸借契約であっても、職務行為たる外観を呈する場合、村に損害賠償責任が生じる

機関

  • 法律上諮問手続が要求されているにもかかわらず、行政庁が指紋手続きを経ずになした行政の決定は、特段の事情がない限り手続き上の瑕疵に当たり、決定そのものが違法となる。→無効ではない
  • 村長が議会の議決を経ないで議決事項である義務負担行為をした場合は無効となる
  • 諮問が、行政上の便宜を目的としている場合、諮問を欠いても無効ではなく、取り消し事項にとどまる
  • 諮問機関は、行政庁の諮問に応じて意見を述べる行政機関。諮問機関の意見は行政庁を法的に拘束しない

 

  • 権限の委任は権限の一部を下級行政庁や他の行政機関に移譲すること。法律の根拠が必要。委任中は権限を失う
  • 権限の代理は権限の「全部または一部」を他の行政機関に代理させること。法律の根拠は不要。代理中もその権限を失わない

 

国家公務員法1条1項

国家公務員法1条1項国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように民主的な方法で選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を補量することを目的とする。

分限処分本人の意に反する処分。職務遂行上に支障のある場合や適格性を欠く場合など。処分内容→免職降任休職

懲戒処分…非違行為があったとき、制裁としてなされる処分。処分内容→免職停職減給戒告

行政行為

法律行為的行政行為

  • 下命…義務を命ずる行為。
  • 許可…本来国民が自由に行い得た行為を一般的に禁止したうえ、特定の場合にその禁止を解除する行為。例)運転免許、飲食店の営業許可、医師免許
  • 免除…すでに課されている義務を特定の場合に解除する行為。
  • 特許…特定人のために新たな権利や法律上の地位を付与する行為。例)埋め立て許可、電気事業の許可、帰化
  • 認可…当事者間の法律行為を補充し、その私法上の効果を完成させる行為。例)農地権利移転の許可
  • 代理…第三者のなすべき行為を行政主体が代わって行い、第三者が自ら行ったのと同じ効果を生ずる行為

準法律行為的行政行為

  • 確認…特定の事実又は法律関係の存否について、疑いや争いがある場合に、公の権威をもって確定する行為
  • 公証…特定の事実又は法律関係の存否について、争いがない場合にその存在を公に証明する行為
  • 通知…特定または不特定の人に対して、一定の事項を知らせる行為
  • 受理…他人の行為を、有効な行為として受け付けること

 

  • 公定力…行政行為にたとえ瑕疵があっても、権限のある機関によって取り消されるまでは有効として扱われる。

→ただし、瑕疵が重大でありかつ外見上客観的に明白である場合は、その行政行為は無効となる。

  • 不可争力…行政行為に瑕疵があっても、一定期間経過後は、もはやその行為の効力を争えなくなる。
  • 自力執行力…命じられた義務を国民が履行しない場合には、裁判判決を経ることなく、強制的に義務の内容を実現できる。
  • 不可変更力…一度行った決定・判断を自ら取り消したり変更したりできない。原則として行政行為には不可変更力は認められない。ただし、裁決などの争訟裁断的行政行為は不可変更力が認められ「裁決」を裁決庁自ら取り消し。変更することができないと解される。

付款

  • 条件…停止条件、解除条件
  • 期限…行政行為の効果を将来発生することの確実な事実にかからせる意思表示のこと。
  • 負担…相手方に対して特別な義務を命ずるもの。負担を履行しなくても行政行為の効力は失われない
  • 撤回権の留保…例)「善良な風俗を害する行為があった場合には、営業許可を取り消す」とする場合など。
  • 法律効果の一部除外…法令が一般にその行為に対して付与している効果の一部を発生させないこと。明治の法律の根拠が必要。

付款を付けられるのは法律行為的行政行為に限られる。

法律に規定がある場合と、自由裁量行為の場合のみ付けられる。

行政裁量

法規裁量

法規の解釈適用に関する裁量。法的に客観的基準が存在する場合で、その判断を誤れば違法。司法判断の対象となる。

  • 農地委員会が農地賃借権の設定・移転に承認を与えるかどうかは、法律の目的に必要な限度においてのみ行政庁も承認を拒むことができるのであって、客観的な基準を定めていない場合でも、農地委員会の自由な裁量に任せられているのではない
  • 交通違反行為が(旧)道路交通取締法9条5項に基づく運転免許の取消事由に該当するかどうかの判断は、法令の規定の趣旨に沿う一定の客観的標準に照らして決せられるべきいわゆる法規裁量に属する
  • 国有財産(皇居外苑)をいかなる態様・程度で国民に利用させるかは、その利用が公共福祉用財産の供用目的にそうものである限り、管理権者の単なる自由裁量に属するものではなく、管理権者が管理権の行使を誤り、国民の利用を妨げた場合には違法たるを免れない。

自由裁量

専門技術又は政策的な事項に関する決定が行政庁の自由な判断にゆだねられている場合。

もっとも、裁量権の逸脱や濫用があれば取り消される。

  • 生活保護法に基づき厚生大臣の定める保護基準は、その具体的内容は多数の不確定要素を総合的に考慮してはじめて決定できるので、その認定判断は厚生大臣の裁量に任されており、直ちに違法の問題を生ずることはない。
  • 原子炉の安全性の認定は高度の科学的専門技術的見地に基づく総合的判断であるから、行政庁の便宜(自由)裁量とみるべきで、その当否は裁判所の審理・判断になじまない。

裁量権の濫用

次のようなケースでは裁量権の濫用として違法になるとした。

  • 外国人の在留期間の更新を適当と認めるに足る相当の理由があるかどうかは法務大臣の政治的判断に委ねられるが、その判断が全く事実の基礎を欠き、又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があった者として違法となる
  • 児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とする施設である以上、その認可はこのような趣旨に沿ってなされるべきである。個室浴場の営業の規制を動機とした児童遊園の施設認可は行政権の濫用に相当する違法性がある

取消・撤回

取消…成立当初から瑕疵が存在していた場合に、遡及的にその効力を消滅させること

撤回…後に生じた事情により、その効力を将来に向かって失効させること

委任命令

本来法律が定めるべき内容を法律では定めずに、省令等の行政立法に委ねたもの。白紙委任は許されない。

  • 文化的価値のある刀剣類の鑑定基準を日本刀に限るとすることは、委任を逸脱する無効ということはできない
  • 被拘留者と幼年者の接見を制限する規則は監獄法の委任の範囲を超え無効

行政計画

行政計画に国民は原則として拘束されない。→取消訴訟の提起はできない

  • 用途地域の指定は、土地所有者等に建築基準法上の新たな制約を課すが、その効果は、法令が制定された場合におけると同様の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれに過ぎず、個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があった者として、これに対する抗告(取消)訴訟を肯定することはできない

しかし、国民の法的地位に変動をもたらす行政計画もある。この場合は抗告(取消)訴訟を認める

  • 第二種都市再開発事業における再開発事業計画は土地所有者の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであるから、抗告訴訟の対象となる
  • 土地区画整理事業計画の決定は宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであり抗告訴訟の対象となる

行政計画は自由に変更することができるが、国民の信頼を不当に害する場合には、保障等の措置を講じない以上、違法なものとして国家賠償責任が生ずる。

行政指導

行政庁が行政目的を達成するために行う指導・助言・勧告のこと。

  • 行政指導は国民を拘束しない。したがって法律の根拠は不要
  • 行政指導によって権利を侵害された国民は、その取消を求めて取消訴訟を提起できない。ただし、違法な指導によって損害を受けた場合には国家賠償請求は可能
  • 医療法30条の7に基づく病院開設中止の勧告は、事実上病院開設自体を断念せざるを得なくなる効果があり、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」にあたり、抗告(取消)訴訟を提起することができる

行政契約

公害防止協定の有効性

産業廃棄物処分業者が、公害防止協定において、事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは処分業者の自由な判断で行えることであり、その結果、知事の処分が効力を有する期間内に事業や施設が廃止されることがあっても、同法に抵触するもの画は無いので、町と処分業者が締結した公害防止協定における、協定所定の使用期限を超えて廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは、同法の趣旨に違反しない。

公害防止協定の有効性

町との公害防止協定は廃棄物処理法とは別の任意の行政契約なので、知事の許可が有効である期間に協定によって廃棄物の処分を行ってはならないとされても、それは廃棄物処理法とは無関係であり、同法に違反しない。

公害防止協定の有効性結論

行政強制

行政代執行

代替的作為義務の不履行があった場合に行政庁または行政庁の指定する第三者が、義務者本人に代わって履行し、本人にその費用を徴収することをいう。行政代執行は代執行についての一般法

行政代執行の要件

  1. 代替的作為義務が不履行であること
  2. 他の手段による履行の確保が困難であること
  3. その不履行の放置が著しく公益に反すること

代執行の手続き

  1. 文章による戒告
  2. 代執行令書による通知
  3. 代執行の実施…証票携帯義務
  4. 費用の納付命令…国税滞納処分の例による
  5. 費用の徴収

執行罰(間接強制)

代替的作為義務・不作為義務が不履行である場合に、行政庁が一定の期限を示して履行を促し、もしその期限までに履行されない場合、過料を課す旨を予告し、その心理的圧迫により義務履行を間接的に強制するもの。執行罰は個別の法律が必要(現在は砂防法にあるのみ)

直接強制

義務者が義務を履行しない場合に直接義務者の身体または財産に強制力を加え、義務の内容を実現する手続き。個別の法律の根拠が必要。

強制徴収

国民が税金・保険料等を納めない場合に、それを強制的に取り立てる手続。国税以外の行政上の金銭債権の徴収手続の「国税徴収法」の手続を適用する場合、個別法に「国税滞納処分の手続によって強制徴収できる」旨の明文規定が必要。

行政上の金銭債権の公共性から、簡易迅速な強制執行の手続きが法律で認められている以上、民事上の強制執行の手段によることはできない。

即時強制

急迫目前の障害を除くため、あらかじめ義務を命じる余裕がない場合義務を命じることなく直ちに国民の身体・財産強制力を加えて、行政上必要な状態を作り出す作用をいう。

具体例

身体に対する即時強制 警察官職務執行法による保護避難、感染症予防法による強制検診・入院、出入国管理法による強制収容・退去
財産に対する即時強制 消防法による破壊消防、違法駐車のレッカー移動、狂犬病予防法による狂犬処分

即時強制は法律(条例)の根拠が必要。また、継続的なものについて行政不服申し立て取消訴訟の対象となる。

行政罰

行政刑罰…罪刑法定主義の適用があり、法律(条例)の根拠が必要。刑法総則が適用され、刑事訴訟の規定に従って裁判所が科します。

秩序罰過料の制裁。非訴事件手続法に基づいて、裁判所が科す。地方自治法上の過料については、地方公共団体の長の行政処分として科される。

行政刑罰と秩序罰 併科OK
行政罰と懲戒罰 併科OK
行政罰と執行罰 併科OK
行政罰と税法上の加算税 併科OK

以上、行政法の一般法理でした。

次回、行政手続法の予定です。