【独学合格者ノート】行政書士試験受験者のための行政法 地方自治法(平成30年法改正)

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【独学合格者ノート】行政書士試験受験者のための行政法その4 行政事件訴訟法

平成30年度法改正 行政書士試験で影響のある範囲

平成30年度試験の法改正で行政書士試験に関係があるところは、一般常識を除けばこの地方自治法の範囲に集約されています。

①地方自治法196条 監査体制

監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。以下この款において「識見を有する者」という。)及び議員のうちから、これを選任する。ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。

→監査委員を議員から選任できるが、条例で定めた場合は監査委員を議員から選任できない。

議員を監査委員にしたくない時に条例で定めれば議員以外のみを監査委員に選出できる。

②地方自治法200条2

監査委員に常設又は臨時の監査専門委員を置くことができる。

監査専門委員は、非常勤

③地方自治法233条

普通地方公共団体の長は、決算の認定に関する議案が否決された場合、当該不認定を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、その内容を議会に報告及び公表しなければならない

報告・公表しなければならない系なので選択肢に出てくる可能性あり。

④地方自治法252条36第2項

前項第二号(政令で定める市)に掲げる市以外の市又は町村で、契約に基づく監査を受けることを条例により定めたものの長は、同項の政令で定めるところにより、条例で定める会計年度において、当該会計年度に係る包括外部監査契約を、速やかに、一の者と締結しなければならない。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。

政令指定都市以外の市又は町村で、契約に基づく監査を受けることを条例により定めたものの長は速やかに当該会計年度に係る包括監査契約を締結しなければならない

この場合において、あらかじめ監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならない

契約に基づく監査を受けることを条例で決めた地方公共団体の長は、あらかじめ包括監査契約を締結する前に、監査委員の意見を聞くとともに、議会の議決を経なければならない。

以上が平成30年法改正個所となります。

出題されるかされないかでいえば、される可能性はありますが、改正点は出題されたとしても択一式の選択肢の一つとして、しかも過去問を解いていればほかの選択肢から正解が導かれるような形での出題だと思われますので、過去問を解いていればさらっと読んでおくだけでもいいと思います。

地方自治法1条

地方自治法1条は虫食いにして穴埋め問題として出されたりするので暗記が必要です。

地方自治法1条…地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。

地方自治は民主的にして能率的という個所はほぼ出題されると思って覚えてください。

普通地方公共団体

都道府県と市町村。もちろん東京都も。人口5万人以上で市になれる。

指定都市‐50万人以上の市。条例で区を設ける(条例で総合区を設けることも可能)

中核市‐20万人以上の市

指定都市、中核市、そして特別地方公共団体の特別区の違いは覚えること。

特別地方公共団体

特別区

東京23区のこと。東京都以外も設置できるようになった。→大阪都構想

地方公共団体の組合

一部組合広域連合がある。

都道府県・市町村・特別区が設立できる。

公益上必要があれば知事は設立するよう勧告できる

財産区

市町村・特別区の一部の区域について独立した法人格が与えられる。温泉など。

法定受託事務

第1号…国→都道府県・市町村・特別区に委託。

第2号…都道府県→市町村に委託

自治事務・法定受託事務共に、国は普通地方公共団体の自主性と自立性に配慮し、関与を必要最低限にしなければならない

自治事務への関与…助言・勧告・資料の提出の要求、協議、是正の要求

法定受託事務への関与…助言、勧告、資料の提出要求、協議、同意許可・認可・承認指示代執行

国が関与するには、法律又は政令によらなければならず、条例では根拠にできない

第1号→第2号と上から降りてくる事務作業であることを覚える。

地方公共団体の権能

自治立法権‐条例制定権

普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて自治事務・法定受託事務について条例を制定することができる

1つの地方公共団体のみに適用される地方自治特別法を制定するには、住民の投票で過半数の同意を得なければならない。

各事務作業について条例を制定できる条件を覚える。

条例に関する重要判例

奈良県ため池条例事件

ため池決壊の原因となる使用行為は、財産権の保障のらち外で、条例で財産権行使がほとんど全面的に禁止される結果となっても憲法29条2項に違反しない。→条例で財産権を定めてよい。

条例で罰則を定めることは、憲法31条の罪刑法定主義に反しないか?→反しない。

→国会の制定する法律に類似するため、法律による委任が相当程度に具体的かつ限定されていれば足りる

憲法>法律>条例の順で強力なルールであるところ、憲法は「法律で決めていなければ罪に問えない(罪刑法定主義)」と定めている。ある程度具体的に法律が「条例で制限してもいいよ」と示していれば条例で罰則を定めることは憲法31条に違反しない。

徳島市公安条例事件

法律の範囲内で条例を制定しなければならないと定めているところ、法律と条例で同一の事項について定められている場合、両者の関係は?

国の法令中に規制する規定がない場合

何ら規制せずに放置する趣旨→条例で規制×

地域の実情に任せる趣旨→条例で規制〇

国の法令がすでに規制している場合

国の法令と規制目的を別にする場合→条例で規制〇

国の法令と規制目的を同一にする場合

全国一律に規制する趣旨→条例で規制×

地域に応じた規制を容認する趣旨→条例で規制〇

こちらも法律>条例という力関係が大前提であるので、どのような趣旨で法律が定められているのかを考え、法律に趣旨にそぐわないような条例を制定してはならないということ。

住民の権利義務

直接請求

直接請求 日本人・住民が請求可能 有権者の連署数 請求先 請求後の処理
条例の制定改廃請求 1/50以上 普通地方公共団体の長 長は、20日以内に議会を招集、付議、結果を公表
事務の監査 1/50以上 監査委員 監査委員は監査を行い、監査結果を公表
議会の解散 1/3以上 選挙管理委員会 住民投票により、過半数の同意があれば解散
議長の解職 1/3以上 選挙管理委員会 住民投票により、過半数の同意があれば失職・解散
副知事、副長、委員党役員の解職 1/3以上 普通地方公共団体の長 長は、議会に付議し、2/3以上の出席で3/4以上の同意があれば失職

解散や解職は重い処分なので多くの連署が必要と覚える。

住民監査請求

住民監査請求 住民が請求可能 有権者の連署数 請求先 請求後の処理
違法不当な財務会計上の行為のみ 1人以上 監査委員 監査委員は60日以内に監査を行い、結果を公表。理由があれば是正勧告をする。

※行為のあった時から1年以内のみ請求可能。

住民訴訟

原告適格…住民監査請求をした者→監査請求前置主義

訴訟類型…①差止め請求②取消又は無効確認の請求③怠る事実の違法確認④損害賠償、不当利得返還請求

出訴期間…監査の通知等があった日から30日以内

住民監査請求と住民訴訟は住民のみが請求できる。

議会

町村は条例で議会を置かずに選挙権を有する者の総会(町村総会)を設置できる。

議会の議員定数は条例で定める

任期は一般選挙の日から4年

辞職には議会の許可が必要。→閉会中は議長の許可が必要

議会の権限(の抜粋)

条例の制定改廃等の議決権

予算を定める権限→議会は予算を増額できるが、長の予算提出権を侵害するような増額はできない。

・公益に関する事件につき、意見書を国会又は関係行政庁に提出できる(意見提出権

100条調査権→すべての事務が調査対象。選挙人、その他関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求できる。

・法律および会議規則に違反した議員に対し、懲罰を科すことができる戒告陳謝出席停止除名

→除名は副長や委員と同じように2/3以上の出席+3/4以上の同意が必要。

・議長等の臨時会の招集請求に対して長が招集しないときは、議長が綸旨会を招集できる。

再議

一般的再議

議会の議決に異議があるときは、10日以内理由を示して再議に付すことができる

→議会における条例の制定改廃又は予算についての異議があるとき。出席議員の2/3以上の同意で再議決。条例・予算以外については1/2以上で議決。

特別的再議

議決又は選挙がその権限を超え、又は法令・会議規則に違反すると認めるとき

議会が、法令により負担する経費・義務費を削減・減額する議決をしたとき、非常災害の応急・復旧の経費や感染症予防のための経費を削減・減額する議決をしたとき

長の不信任議決と解散

2/3以上の出席で3/4以上の賛成→長は10日以内に解散できる→しなければ失職

10日以内に解散した場合→解散・選挙を行い、初招議会で2/3以上の出席で1/2の同意で失職。

長の専決処分

①議会が成立しないとき

②議会を開けない時

③特に緊急の必要があり、議会の招集に時間がないことが明白な場合

④議会が議決しない場合

上記の場合、長は専決処分後議会に報告し、その承認を求めなければならない

→議会の権原に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものも専決処分でき、こちらは議会に報告するだけでよい

議会の権原に属する軽易な事項・特に指定した者は専決処分でき・議会に報告するはよく出るポイント。

補助機関

副知事や副市長村長などの副長。任期は4年

会計管理者…普通地方公共団体は1人設置する。職員から任命する。

行政委員会

長から独立して普通地方公共団体に置かれる執行機関。

特徴

合議制(ただし、監査委員のみ独任制)

②委員の選出について民主的過程を経ており、委員の独立性が保障されている。

③執行権のほか、訓令・通達・告示を発する権原があり、規則制定権がある。(監査委員は規則制定権なし)

④ただし、予算に関しては権原無し

監査

長は識見を有する者及び議員のうちから議会の同意を得て監査委員を選出する。

→(改正ポイント)ただし、条例で定めた時には議員以外の者を監査委員に選出できる。

監査は、毎会計年度中少なくとも1回以上行われる

長や住民の直接請求があるときや必要があるときはいつでも行うことができる。

監査委員は独任制の機関であるが、監査結果の報告は合議で決定する。

公の施設

住民の福祉を増進する目的をもって、その利用に供するための施設。

・普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

・住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならない。

・原則として、公の施設の設置・管理に属する事項は、法令に特別の定めがあるものを除いて、条例で定める

・条例で定める時に重要な公の施設を廃止または長期・独占的な利用をさせようとするときは、議会で2/3以上の同意が必要

・条例で指定管理者に施設の管理を行わせることができる

・区域外にも公の施設を設置することができる。

・他の普通地方公共団体との協議により、他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民に利用させることができる。

公の施設は他県に在ってもいい。(東京都の保養所が伊豆にあったりとか)

公の施設に関しては条例でいろいろと制定する。(その地方公共団体が設置した福祉施設なのでその公共団体で色々決めていい)

国地方係争処理委員会

国の関与に関して不服がある場合、長その他機関は審査を申し出ることができる。

総務省に設置。委員5人。任期3年。

自治紛争処理委員

都道府県の関与に対して不服のある市町村長が総務大臣に審査を要求できる。

委員3人。事件ごとに総務大臣または知事が任命

地方自治法は以上でおわり。

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