【配当落調整金って何?】意外と知らない?一般優待クロスにかかる経費【株主優待クロス・つなぎ売りの経費一覧】
2019年12月10日追記
こんにちは、斉藤カラスです。
『優待クロスは一般クロスが正義!』と常日頃言っている斉藤ですが、一般クロスをするのもタダではありません。
ちゃんとお金を払っています。
よく『優待タダ取り』とは言いますが、株という資本主義の象徴のような資産においてタダで貰えるものなど存在しないのは明白でしょう。
今回はそんな優待クロスを行う時に利用する一般信用取引にかかる経費についてみていきたいと思います。
取引手数料
まず、株を売買するには手数料がかかります。
これは優待クロスにかかわらず、株を売買するときには必ず必要なので知らない人はいないと思います。
優待クロスをするには『買い』と『売り』を行わなければなりません。買いと売りをクロスさせるので優待クロスです。
基本的には『現物株式の買い』と『信用取引の売り』を行ってクロスするわけですが、この株の買いと売りには手数料がかかります。
SBI証券では現物取引(現物株式の買い)の手数料が以下のようになっています。(楽天口座もH29年7月末現在同じ手数料です)

さらに信用取引(信用取引の売り)の手数料は以下のようになっています。

5000万円以上の建玉を持っていれば大口顧客判定されて手数料が無料になりますが、優待クロス投資家には無縁の制度だと思います。斉藤も今のところ縁がありません。
さて、上の表によるとスタンダードプランで60万円の株式をクロスすると買い525円、売り378円で合計903円手数料がかかります。
これでもし株主優待品が500円のクオカードだと赤字になってしまいます。
手数料は大口顧客でなければかかるものなので、優待クロスの時は計算に入れなければなりませんね。
ちなみに、優待クロス解消時の現渡は今のところ手数料0円となっています。(H29.7月末現在)
金利(貸株料率)
現物株式を持っていても金利はかかりませんが、信用売り玉を持っていると金利がかかります。
そもそも信用売りとは、株を借りてそれを売っている状態なので借りている株にレンタル料がかかってくるのです。

上の表はSBI証券のホームページから借りてきたものです。
一般信用クロスで使用する信用売り建は「短期」に該当するものなので、年率3.90%のレンタル料がかかっています。(H29.7月末現在楽天証券も同じ3.90%です)
ということはつまり、長くクロスしているとその分レンタル料が多く発生してお得度が減っていくのです!
また、信用売り建は買った日を1日目、売った日を2日目と計算するので権利付き最終売買日に購入して翌日すぐに現渡しても2日分の金利が発生します。薄い利益で直前クロスするときはこの点は注意が必要ですね。
加えて株の受け渡しというのは売買日を含めて3営業日後(取引日の翌日から2営業日)に行うので、例えば火曜日にクロスして水曜日にクロスを解消した場合、実際に株を持っている日が3日ずれて木曜日に手元に株が来て、金曜日に株を手放していることになります。
そして、株のレンタル料は実際に持っていることになっている木曜日と金曜日分に対して発生します。
それでは、水曜日にクロスして木曜日にクロスを解消した場合はどうなるでしょうか。
水曜日にクロスのために買った「現物買い」は問題ないのですが、水曜日にクロスのために売った「信用売り」は実際には3日後の金曜日に手元に来ることになります。
すると、クロスを解消した水曜日の売買が実際に実行されるのは3日後が土曜日で市場がお休みなので翌月曜日となります。
つまり金・土・日・月曜日の4日間株をレンタルしていることになり、金利も4日分かかります。
ボーっとしていると忘れてしまっていて思わぬ損をすることがありますので注意してください。
ちなみに制度クロスの品貸料も同じように営業日で計算しますが、『買いで一日・売りで一日』という計算はせず、権利を跨ぐだけなら1日計算ですので土日を挟んでも4日分ではなく3日分で済みます。
しかし、それでも逆日歩3日分かかりますので逆日歩3倍地獄にも注意してください。ものによっては本当に地獄ですよ!
信用管理料(事務管理費)
信用取引の残高を持って1カ月を経過すると管理料というものがとられます。
例えば、6月銘柄を4月30日からクロスすると5月をまたいで6月の権利日まで1カ月以上あいだがあるので1か月分の管理料がとられます。
この管理料は1カ月以上前からクロスしているとかかる経費ということになるので、SBI証券や楽天証券等の短期一般信用しかない証券会社では考える必要のない費用です。
ただし、1カ月以上前から優待クロスが可能なSMBC日興証券およびカブドットコム証券に関してはこの費用についても考えなければならないということになります。
しかし、SMBC日興証券ではこの管理費は0円です(2019年4月現在)。
素晴らしいですね!
ただ、カブドットコム証券では事務管理費がかかりますので1カ月以上前からクロスする場合は注意が必要です。
※楽天無期限クロス(楽天無期限一般売りを用いたクロス)も1カ月ごとに同じ費用が掛かります。
いくらかかるかというと以下になります。
建玉の約定日から1ヶ月経過するごとに1株あたり10銭(単元株制度の適用を受けない銘柄については1株あたり100円)。100円に満たない場合は100円、上限は1,000円。 |
100株で100円かかります。(税金併せて110円です。)
1000株だと1100円でそれ以上は一律1100円。
特に複数単位、数百株や1000株以上をクロスする場合はご注意ください。
100株単位の銘柄でも、500円のクオカードを取るのに110円消費したら全く見返りがないなんてこともあり得ますのでご注意ください。
一般クロスによる配当落調整金
そんなに気にしなくていいのですが、一般信用クロスにはもう一つかかる経費があります。
それが配当落調整金です。

株主優待をもらうということは、基本的に権利日をまたぐことになるので優待の権利だけでなく配当金をもらう権利も得ることができます。
「お得じゃん!」と思うかもしれませんがそんなに甘くはありません。
上の表はSBI証券から借りてきた表ですがしっかり「一般信用売りで配当権利日をまたいだ場合は配当金の100%を払い戻していただきます。(斉藤による要約)」と書いてあります。
「でもクロスなのだから現物買いの方で配当貰えるからプラマイゼロじゃん!」と思った方、まさにその通りです。現物買いの方では配当金がちゃんともらえます。
でも、配当金って丸々もらえるんでしたっけ?…違いますよね。
配当金には税金がかかります。
現物株式の配当金は源泉徴収額20.315%を引かれてしまうので、結局権利日をまたぐと配当金の20.315%を損することになります。
下にSBI証券の説明を抜粋したものを貼りますが、ちゃんと書いてあります。

さて、それでは本当に配当金の20.315%分損してしまうのでしょうか?
これは特定口座にしているかどうか、または確定申告をするかどうかで変わってきます。
特定口座にしていて、源泉徴収アリでかつ配当受け入れという設定にしていれば特定口座内で1年間の収支を損益通算してくれます。
配当の20.315%は税金として引かれているので、損益通算で利益がマイナスになった場合は翌年の始めに取り過ぎた税金の還付としてちゃんと返ってきます。
逆に株の売買でめちゃくちゃ儲かっていて損失が出なかったとしても、配当の20.315%分は損失ということになり利益から差し引かれるので、利益にかかる税金が減額されるという意味で一応節税対策にはなります。
自分の口座がどの設定になっているか確認
SBI証券でいえば『口座管理』→『サマリー』のすぐ下に『特定口座(源泉徴収)/配当受入』となっていれば翌年の始めに配当金の20.315%分取られていた配当落調整金が還付されます。
『入出金・振替』→『入出金明細』で毎年1月初めの方の入出履歴を見ると『配当所得税還付金』として入金されています。
配当所得税還付金の入金がない方は特定口座で利益が出ている方だと思われます。
楽天口座では『設定・変更』→『お客様情報』→『お取引口座』→『特定口座・源泉徴収』で口座の状態がわかり、『ホーム』→『トップ』→『配当金の受け取り方法』が株式数比例配分方式になっていれば問題ありません。
配当落調整金の扱い
と、いうことで配当落調整金は利益が出ていなければ還付されるので気にしなくてもいいものとされていますが、特定口座でなければ確定申告しないと返ってきませんので注意してください。
当サイトでは配当落調整金を経費に算入している状態といない状態を両方記載しています。
各々御自分の状況に合わせてどちらが自分にあっているかを判断してください。
配当落ち調整金を加味していなくても、株の売却益を優待品に変換していると考えれば損ではないので大きな問題はないと思います。
ちなみに、一般クロスしかしない投資家はこの「配当落調整金」は絶対に損益通算で返ってくる計算になりますのでご安心を。
auカブドットコム証券での手数料改定について(令和元年12月13日15:15以降)の経費について
2019年、暮れで忙しいこの時期にau株コム証券(旧カブドットコム証券)で手数料等の改定が行われました。
基本的に改悪の方向です。
これを受けてネット等で様々な方法が議論されていますが、当サイトでは基本的にau株コム証券では「現物買い+一般信用売り」→権利日過ぎたら「現物売り+一般信用売りの買い戻し」この方法のみを推奨します。
当サイトはこれでも初心者向けのサイトであることが理由です。
以下、理由を記載します。
品受・品渡が損失として通算されない
他の証券会社での優待クロス・つなぎ売りは現在「信用買い+現引き(品受)」を推奨しています。
なぜかというと信用取引のほうが現物売買よりも手数料が安い場合がほとんどだからです。
また、クロス終了後は現渡をすることを当然として記事を作成していました。
今回、au株コム証券はこの品受・品渡に手数料を取る方針に変更してきました。
しかもこの手数料を株式等の損失として計算しないというのです。
いつもであれば利益がある人は「確定申告で」、損失しかない人は「年始に勝手に」経費が損失として利益と相殺され、還付金という名でお金が戻ってきたのですが、これが戻ってきません。
品受けすればするほど、現引きすればするほどただお金が減っていきます。
それを加味して品受・品渡を行う人もいるでしょうが、当サイトは初心者向けのため推奨しません。
幸い信用手数料無料になったので、現物買い+現物売りの手数料のみを経費として考えればいいのでこの計算でプラスになる銘柄の優待クロスのみを取得することを推奨しますし、私はそうします。
以上より、当サイトでは今後クロス経費を以下のように算出します。
- au株コム証券…「現物買い+一般信用売り」
- その他の証券会社…「信用買い+現引(品受)+一般信用売り」
※当サイトの優待クロスの表は2019年12月13日引け以降の更新から対応します。
まとめ
ということで、一般信用クロスにかかる経費をまとめたいと思います。
①手数料:売買額が大きければ大きいほど料金がかさむ
②金利:クロスしている日にちが長ければ長いほど料金がかさむ
③事務管理手数料:1カ月以上クロスしていると料金がかかる
④配当落調整金:配当が高ければ高いほど調整金をとられるが、特定口座の損益通算でマイナスなら返ってくるので気にしなくていい。
上記①+②+③(+④)の額以上に魅力的な優待を選んで優待クロスすべきということになります。
いかがでしたでしょうか?
優待クロスも楽そうに見えて楽ではないのは実際にやっている方は分かると思いますが、もしこれからやろうと思っている方は是非この辺りを頭の片隅にでも入れておいていただけたらと思います。
上記を参考に、これからも変わらずアクセスしていただけるとサイト運営上非常に助かります😊
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